キリスト教とは
イエスをキリストとして信仰する普遍的な世界宗教です。いくつかの宗派に分かれていますが、カトリック、プロテスタントの2つに大きく分かれます。キリスト教は教徒の数が全世界で21億人以上おり、イスラム教、ヒンドゥー教と併せて世界3大宗教の一つといわれています。ただし、日本では人口の約1%のみが信者であるため、キリスト教式に参列する機会もなかなか少ないのではないでしょうか。心に遺るお葬式ではキリスト教式の対応が可能です。お気軽にお問合せ下さい。
カトリックとプロテスタントの違い
16世紀当時のローマ・カトリックでは、恵まれない人々への施しのような明らかに善行であること以外にも、ローマ教皇に寄付することも善行であるとされていて、さらに聖職者が権力を持ったことに対してマルティン・ルターが1517年に95箇条の論題をカトリック教会へ突きつけ抗議をします。さらにルターは「善行ではなく信仰こそが大切である」と考えており、そうしたルターの主張からローマ・カトリックからプロテスタントが分離し発展していきました。これを宗教改革といいます。
キリスト教の葬儀の流れ
キリスト教式の葬儀ではカトリックとプロテスタントでは流れや儀式の名前が異なってまいります。カトリックの葬儀の特徴は伝統や儀式を重んじ、故人さまを神に委ねてキリストの再臨と死者の復活を儀式の中で祈ります。葬儀と告別式に分けて執り行うのも特徴の一つとなっています。プロテスタントの葬儀の特徴は聖書の教えを重んじ、故人さまは神の元で安らかになるものとし、神への感謝とご遺族への慰めを儀式の中で祈ります。プロテスタントではカトリックのように葬儀・告別式と分けることなく行うことも特徴です。ここでは具体的にカトリックとプロテスタントでの葬儀の違いと流れを説明しています。
カトリックの葬儀の流れ
カトリックの通夜では聖書の朗読、神父の説教、聖歌、祈祷、献花が執り行われます。通夜の集いが終わると「茶話会」が行われますが、仏式の通夜振舞いと違ってお酒は飲めません。
入堂聖歌が流れる中、神父が教会に入場します。続いて神父が棺に聖水をかけ、献香を行います。
開式の辞が読み上げられ、葬儀ミサへと続きます。葬儀ミサでは言葉の典礼と感謝の典礼の2つに分けて行います。言葉の典礼では、神父による聖書の朗読や説教があり、最後に神父、参列者全員で祈りを捧げます。感謝の典礼では、まず、ご遺族がパンとぶどう酒を祭壇に捧げます。続いて神父が聖体拝領(せいたいはいりょう)を信者に行います。これはパンがキリストの体、ぶどう酒がキリストの血を表していて、聖体拝領ではパンを分け与えることで信者とキリストが一体となり死からの復活を願うという意味があります。キリスト教ではとても重要な儀式となります。感謝の典礼が終わると聖歌の合唱、祈りが行われます。
次に告別式が執り行われます。まず、入堂聖歌があり、聖歌の斉唱が行われます。終わると弔辞・弔電の紹介へと移ります。
次に献花が行われます。神父、教会の関係者、ご遺族、ご親族、参列者の順番で献花をします。献花台がある場合は献花台に、棺が開いている場合は棺の中へ献花をします。
最後に、ご遺族の挨拶があり、出棺をもって終了とします。
キリスト教の葬儀では土葬が前提となっていますが、日本では基本的に土葬はできませんので、そのまま火葬場へと移動し、火葬となります。
プロテスタントの葬儀の流れ
カトリックの通夜の集いにあたるものです。プロテスタントでは納棺式を前夜式に執り行うことがあります。牧師が祈りを捧げて故人さまを棺に納め、生花を添えます。次に聖書の朗読、牧師の説教、讃美歌、祈祷、献花が執り行われます。前夜式が終わると「茶話会」が行われますが、仏式の通夜振舞いと違ってお酒は飲めません。
オルガンの演奏に合わせて牧師、棺、喪主、ご遺族の順番で入場が始まります。参列者は全員起立して迎え入れます。
牧師の聖書の朗読、祈祷、説教と続いて行われます。その次に弔辞・弔電の紹介があります。
祈祷、オルガンの演奏の後に献花と続いていきます。献花は牧師、喪主、ご遺族、ご親族、参列者の順番で献花をします。
最期に棺のふたを閉めてから、ご遺族の挨拶があります。それが終わりますと出棺となります。
キリスト教の葬儀では土葬が前提となっていますが、日本では基本的に土葬はできませんので、そのまま火葬場へと移動し、火葬となります。
キリスト教の葬儀におけるマナー
キリスト教の葬儀での服装、御花料、献花について解説いたします。キリスト教では数珠は不要です。香典の代わりに御花料、焼香の代わりに献花を行います。
キリスト教の葬儀での服装

遺族さまは正式礼装の喪服となります。参列者は洋装の場合は礼服で問題ありません。男性は黒のスーツ上下(シングル・ダブルどちらでも可能)、黒のネクタイ、白のワイシャツ、黒の靴下、黒の革靴(光沢のないもの)。女性は黒のスーツ・ワンピース、黒のストッキング、黒のフォーマルな靴(光沢のないもの)、黒のカバン(光沢や金具のないもの)、白の無地または黒のフォーマルなハンカチ。また、キリスト教式でも和装で構いません。女性は黒の無地の着物で紋が染め抜きで5つ入っているものを選びます。男性は黒の紋付き羽織袴となります。なお、女性信者に限り、白いレースなどが付いた黒の帽子、黒の手袋の着用が可能です。
キリスト教(カトリック)の葬儀で必要なロザリオ

カトリックの葬儀ではロザリオを使うことがあります。信者であれば既に持っているかと思いますので持参しましょう。信者でない方は特に新しく用意する必要はありません。使い方は数珠のように持ち、祈りを捧げるごとに一つずつ珠を指で操っていきます。
キリスト教の御花料について

御花料とはキリスト教式で、ご遺族にお渡しする金銭のことをいいます。通常の葬儀で、ご遺族にお渡しする香典のようなものとお考えください。香典袋は蓮の模様が描かれているものは仏教でしか使えませんので、ご注意ください。カトリックでは御花料以外では、御ミサ料、御霊前でも使用できます。プロテスタントでは御花料しか使えない点もご注意ください。
キリスト教の献花の作法

献花はキリスト教式で行う儀式でお花を順番に献花台に置いて故人さまを送ることをいいます。自分の順番が回ってきたら、スタッフよりお花を受け取ります。受け取ったら献花台まで両手で持っていきます。献花台の前にきたら一礼して右側に花がくるように右手の平の上に置いて左手は甲を上にして茎元を人差し指・中指と親指で挟んだ形にします。献花台に置く際は時計回りに花を自分の方に向けてから置きます。カトリックの方は十字を切って、プロテスタントの方は胸の前で祈りのポーズ(特に決まりはなく、両手の指を組み親指だけ交差させて握るようにして問題ありません)をし、それ以外の方は片方の手の甲に、もう片方の手のひらを重ねて黙祷してから、もう一度一礼します。
宗教(宗派・宗旨)について
浄土真宗、浄土宗、真言宗、日蓮宗、天台宗、曹洞宗、臨済宗、神道、キリスト教等の各宗教・宗派ごとの葬儀の違いについて解説しております。