神道とは
古来よりの日本の宗教で教典や具体的な教えはない祖霊崇拝的な民族宗教です。信仰の対象となるのは八百万の神です。神代から伝わってきた、神の御心のままに、人為を加えぬ日本固有の道、惟神の道(かんながらのみち)を進み神と共にあるというのが神道であるといわれています。教えや内実は神社と祭りの中に伝えられています。古事記、日本書紀、古語拾遺、先代旧事本紀、宣命といった「神典」と称される古典群が神道の聖典とされています。
神道の葬儀の流れ
神道の葬儀は、正式に神葬祭(しんそうさい)といいます。神道では神が人間に与えた命を神に返し、故人さまが子孫や家を守るため守護神となると考えています。そのため神葬祭では故人さまを神にするための儀式と考えています。仏式での戒名に替わるものに諡(おくりな)というものがあり、年齢や性別で決まるもので料金は発生しません。
ご遺族、ご親類、参列者全員が手水の儀(ちょうずのぎ)を行います。式場の入口に用意された手桶からひしゃくで水を汲み、左手、右手の順でかけ、左手に水を受けて、その水で口をすすぎます。
参進(さんしん)で神職、雅楽の奏者、参列者が入場します。入場が終わると斎場・棺・参列者等を祓い清める儀式である修祓の儀(しゅばつのぎ・しゅうばつのぎ)が始まります。続いて斎主(中心となって祭儀を司る神主)に合わせて、神前に向かい全員起立し、拝礼をします。これを斎主一拝(さいしゅいっぱい)といいます。
次に遷霊の儀(せんれいのぎ)が執り行われます。霊璽(れいじ)という位牌のようなものに故人さまの霊を招き入れる儀式となります。また、御霊移し(みたまうつし)とも呼ばれます。
次に神饌(しんせん)と呼ばれる供物を神へと献上します。これを献饌(けんせん)の儀といいます。
次に玉串奉奠(たまぐしほうてん)が始まります。斎主、喪主、ご遺族、ご親族、参列者の順番で行います。
次の撤饌の儀(てっせんのぎ)では献饌の儀で献上した供物を下げます。続いて斎主一拝を再び行います。
最後に退下(たいげ)で神職、雅楽の奏者が退場されて通夜祭は終了となります。
通夜祭と同様に、全員が手水の儀を行います。参進、修祓の儀、斎主一拝、献饌の儀まで続きます。
次に祭詞奏上(さいしそうじょう)を執り行います。齋主が故人さまを偲び祭詞を奏上することをいいます。具体的には故人さまの経歴や人柄を述べ、安らかな死を祈り、故人さまが子孫や家を守るため守護神となるよう願います。
次に玉串奉奠が始まります。終わりましたら撤饌の儀で供物を下げます。再び斎主一拝を執り行います。退下で神職、雅楽の奏者が退場されて終了となります。
弔電の紹介が終わると、お花入れの儀で故人さまと最期のお別れの儀となります。
次に喪主挨拶が行われ、出棺祭となります。この際、修祓や祭詞奏上を行う場合もございます。
火葬を行う前に修祓や玉串奉奠が執り行われます。
お墓の準備が出来ている場合は火葬当日に納骨を執り行うことがあります。
帰家祭が終了した後に、参列者への労いや感謝の気持ちで直会という飲食の席が設けられます。 後日、仏式の法要にあたる霊祭が執り行われます。
神道の葬儀におけるマナー
神葬祭での服装、香典、玉串奉奠の作法などについて解説いたします。神道では数珠は不要です。焼香の代わりに玉串奉奠を行います。
神葬祭での服装

遺族さまは正式礼装の喪服となります。参列者は洋装の場合は礼服で問題ありません。男性は黒のスーツ上下(シングル・ダブルどちらでも可能)、黒のネクタイ、白のワイシャツ、黒の靴下、黒の革靴(光沢のないもの)。女性は黒のスーツ・ワンピース、黒のストッキング、黒のフォーマルな靴(光沢のないもの)、黒のカバン(光沢や金具のないもの)、白の無地または黒のフォーマルなハンカチ。また、和装では紋が染め抜きで5つ入っているものを選びます。女性は黒無地着物、男性は黒紋付き羽織袴となります。
神葬祭の香典について

神葬祭の香典の表書きは「御玉串料」、「御神饌料」、「御榊料」と書くのがマナーとなっています。「御霊前」でも問題ありません。水引は銀のものを使います。渡し方は袱紗から香典袋を出し、受付の方が文字を読めるように向けて渡します。
神葬祭の玉串奉奠(たまぐしほうてん)の作法

玉串奉奠とは玉串を神様にささげる神道の儀式で神葬祭で執り行う仏式の焼香の替わりのようなものです。神様が宿るとされる榊の枝に紙垂(しで)や麻を結びつけたものを玉串といい、参列者が玉串を時計回りに回して根本を神前へ向けて玉串案に置くまでが一連の流れです。
宗教(宗派・宗旨)について
浄土真宗、浄土宗、真言宗、日蓮宗、天台宗、曹洞宗、臨済宗、神道、キリスト教等の各宗教・宗派ごとの葬儀の違いについて解説しております。